
静かな佇まいに、ちいさな銀のひと粒。
淡いガラスに、ぽつりと添えられた銀の粒。
韓国の「multeo(물터)」が手がけるシルバーボール スリムカップは、いつか自分の暮らしにも迎えたいと思っている器のひとつです。
穏やかな色合いと、底から口元へとなめらかに広がる形。そのなかで小さく光る銀が、カップにさりげない表情を添えています。
決して派手ではないのに、ふと目が留まり、心に残る。ありそうで、なかなか出会えない。その装飾のさじ加減に惹かれました。
光が通ると、内側にやわらかな光の波が生まれるガラス。そこに銀のきらめきが重なり、眺める楽しみが増えていきます。
手に取るたびにこの小さな粒が目に入ると思うと、いつもの一杯も少し楽しみになりそうです。

ガラスと銀、ふたりの手仕事が出会う。
multeoを手がけるのは、金工作家のキム・イェジさんと、ガラス作家のチェ・サンジュンさん。
異なる素材に向き合うふたりが、茶道具やテーブルウェア、オブジェを制作しています。
スリムカップは、吹きガラスの技法で一つひとつ形づくられています。すっと立ち上がり、口元へ向かってゆるやかに開く輪郭には、端正さとやわらかさが同居しています。
その姿に添えられる、小さな銀の粒。ガラスの穏やかな色と、金属ならではの輝きが、ひとつの器のなかで自然に馴染んでいます。
それぞれの素材を扱うふたりが、一緒にものをつくっている。その背景を知ると、さりげなく見えた組み合わせにも、もう一度目を向けたくなりました。
ガラスと銀、ふたつの手仕事に触れられることも、このカップに惹かれる理由です。

自分をもてなす、日々の一杯。
multeoという名前に込められているのは、「もの、そしてお茶のための場所」という意味。
静かに茶葉を淹れ、心を込めて食卓を整える時間に、道具がもたらす喜びを届けたいと考えています。
なかでも心に残ったのが、「自分自身をもてなす」という想い。誰かのためには器や飲み物を選ぶのに、自分ひとりだと、つい簡単に済ませてしまうことがあります。
そんな日にも、好きなカップを選ぶところから、自分のための時間をつくれたら。
冷たいお茶や普段の飲み物を注いで、場所や使い方にとらわれず、日々の暮らしのなかで楽しめるカップです。
ひと仕事終えたあとに、お茶を用意して少し手を休める。淡いガラスの色や、小さな銀の輝きを眺めながら、ゆっくりと一杯を味わう。
そんな時間を思い浮かべながら、暮らしに迎えたい器です。
