
灯りが変わると、部屋の空気も変わる。
部屋にひとつ灯りをともすだけで、空気が少しやわらぐことがあります。明るさが変わったわけではないのに、気持ちがゆっくり落ち着いていく。そんな感覚を思い出させてくれたのが、nen.の蝋燭でした。
和紙に描いた模様を蝋へ貼り合わせたものや、自然物のようでもあり人工物のようでもある、不思議なかたち。空間に静かになじみながらも、どこか目を惹く存在感があります。
「暮らしを心地よくする美しいもの。」その言葉の通り、蝋燭そのものだけではなく、灯りのある時間までデザインしているように感じました。

丁寧な暮らしじゃなくてもいい。
「蝋燭を灯すなんて、そんな丁寧な暮らしできないよ、と思うかもしれませんが、私自身全く丁寧な暮らしはできず、なんなら手抜きな暮らしを満喫しています。」作家自身がそう綴っていた言葉が、とても印象に残りました。
蝋燭というと、丁寧な暮らしや特別な時間を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、nen.が大切にしているのは、誰かの理想の暮らしではなく、ひとりひとりの暮らしに合った心地よさ。
無理に背伸びをするのではなく、自分のペースで過ごせる時間。その積み重ねこそが、本当の心地よさなのだと教えてくれます。

心地よさは、人それぞれ違っていい。
nen.の始まりは、昔から蝋燭が好きだったことではありませんでした。好きな雑貨店で出会った蝋燭作家の作品に惹かれ、その世界観に触れたことがきっかけだったそうです。
知らなかった世界へ足を踏み入れたことで、新しい刺激を受ける一方、誰かと比べて焦ってしまうこともあったといいます。
そんなとき、「景色を変えるって必要だな」と感じたことを、作家はThreadsで綴っていました。心地よさも、美しさも、人それぞれ。だからこそ、暮らしに正解はありません。
疲れた日の夜、もうひと踏ん張りしたいときに火を灯すのもいい。ある日は灯さず、オブジェとして静かに飾っておくのもいい。
その日の気分や暮らしに合わせて、自分らしい距離感で寄り添ってくれる。火を灯す日も、灯さない日も。そのどちらも、自分らしい心地よさなのかもしれません。
