
はじまりは、いつもの好きなお店で。
その日は、本を買うつもりなんてありませんでした。
TODAYFULに足を運ぶと、店頭に並んでいた『理想のしにかた』。偶然にも、その日が発売日だったそう。
いつもInstagramで見かける、吉田怜香さん。
彼女のつくる洋服や、切り取られた暮らしの風景。その向こうにいる彼女は、どんなことを考え、どんな言葉を書くのだろう。
「少し、読んでみたいなぁ。」
そう思いながらも、本を読むのが苦手な私には、読みきれるかな、というためらいもありました。
でも、何か一冊、読み始めてみたいと思っていたところ。この本なら、読めるかもしれない。
好きなお店で出会えたのも、きっといいきっかけ。そんな気持ちで、一冊連れて帰ることにしました。
ページをめくるたび、少し近くに。
本を開くと、そこには娘との生活や、自身の生い立ち、愛犬との暮らし、友人との関係。そして、理想のしにかたまで。
いつもInstagramで見ていた吉田さんの、まだ知らなかった日々が綴られています。
暮らしの隅々まで整っていて、きっと何でもきちんとしている人なんだろうな。勝手にそんな姿を想像していたけれど、読み進めるうちに、少し印象が変わってきました。
「あ、こういうところもあるんだ。」
めんどくさがりなところや、ほどよく力の抜けたところ。自分と似ている一面を見つけては、思わずにやけてしまうことも。
素敵だなぁ、と眺めていた人に、「わかる、私も」と思えるのが、なんだかうれしい。
時折出てくる写真も可愛らしくて、ふと手を止めて眺めます。文章を読んで、写真を見て。またひとつ、彼女のことを知っていく。
なかでも心に残ったのは、娘のひばりさんとの関係でした。
母と娘だけれど、どこか親友のよう。親だから、子どもだからという上下を感じさせず、ひとりの人として向き合っているように見えます。
「こんな親子って、いいなぁ。」
自分が理想としていた関係が、そこにある気がして。ふたりの日々を読みながら、私もこんなふうに、大切な人と向き合えたらと思いました。
読み終えて、また開きたくなる。
最後のページを閉じたとき、吉田さんの人生をまるっと知れたような気持ちになりました。
もちろん、この一冊がすべてではないけれど。どんな時間を過ごして、誰を大切にして、何を思ってきたのか。読み始める前よりも、ずっと身近に感じられるのです。
一冊の本で、ひとりの人生にこんなふうにふれられるんだ。
本を読むのが苦手だった私には、それが思いがけないよろこびでした。
身近なエピソードが綴られたエッセイだから、気負わずに読み進められたのかもしれません。「何か読んでみたいな」と思っている人にも、そっとすすめたくなります。
吉田さんの人柄や、大切にしていること。そのひとつひとつにふれて、読み終わったあとも、また開きたいと思える一冊に。
思わず笑ってしまったところも、ふたりの関係に憧れたところも、もう一度。
洋服を見に行った日に連れて帰った本が、読書の楽しさまで教えてくれるなんて。あの日、手に取ってよかったなぁと思います。
