和蝋燭「Anicca10」仏教の静寂

消えゆく炎が宿す、 塗香と櫨蝋の和蝋燭。

石の器に立てられた和蝋燭が、剥落した壁の前で静かに佇む
引用:https://haze.official.ec/

塗香を練り込んだ、仏教の静寂

和蝋燭「Anicca10」は、仏教の静寂を表現した10本セットの蝋燭です。木の実から採れる櫨蝋(はぜろう)100%に、粉末状のお香である塗香を混ぜ合わせて作られています。1本あたり直径12mm、高さ75mmの小ぶりなサイズで、約40分の燃焼時間を持ちます。

塗香は古来、修行者が身を清めるために用いてきた素材です。この蝋燭では香りを立たせず、炎そのものに仏教の教えを宿らせています。専用のピン付き燭台に立てて使用し、煤が少なく力強い炎が安定して立ち上がります。

桐箱のサイズは幅133mm、高さ92mm、厚み25mm。蓋を開けるたびに感じる静かな木の質感が、中に収められた蝋燭への期待を静かに高めてくれます。贈り物としても、落ち着いた印象を届けられる仕様です。

桐箱に並んだ十本の和蝋燭と木目のふたの静かな構図
引用:https://haze.official.ec/

各地の技術が一本に集まる製法

この蝋燭を支えるのは、日本各地をつなぐ分業の構造です。福岡・長崎で精製された櫨蝋(はぜろう)、奈良で作られた灯芯草、そして川越の職人の技術。地図上の点と点を結ぶように、素材と人の手が一本の蝋燭に集約されています。

工房では、湯気の立つ釜の前で職人が溶かした蝋の温度を肌で感じ取りながら作業を進めます。芯の周りに少しずつ蝋を重ね、指先の微妙な力加減で厚みを整えていく。その過程で生まれる、指の腹でそっと撫でたようななだらかな起伏が、蝋燭の表面に独特の表情を残します。

手掛け製法と呼ばれるこの技法は、型に流し込む方法とは全く異なります。職人の身体の動きと呼吸が、一本ごとの輪郭を決定づけ、淡く緑がかった色合いとマットな質感を生み出していきます。

職人が両手で丁寧に蝋燭の太さを測り、仕上げていく様子
引用:https://haze.official.ec/

日常に小さな焚き火を迎える

一日の終わり、読みかけの本を閉じたときや、考えごとで頭がにぎやかになったとき。マッチを擦って芯に火を移すと、凛とした炎が細く伸びて、空間の空気がすっと変わるのを感じます。香りが立たないため、食卓でも仕事場でも、どんな場面にも静かに寄り添ってくれます。

パチパチという微かな音とともに揺れる炎は、まるで小さな焚き火のようです。一定の形に留まらない光の揺らぎを見つめていると、自分の呼吸に意識が戻り、張り詰めていた肩の力が自然と抜けていきます。

「Anicca(アニッチャ)」は仏教用語で「無常」を意味するパーリ語。すべては変わりゆくという教えが、この蝋燭の名前に込められています。同じ炎には二度と会えないというHAZEの思想と深く響き合い、燃え切った後に残る静かな余韻が、過ごした時間の手触りを澄んだ感覚で教えてくれます。

和蝋燭 HAZE(ヘイズ)

「同じ火には二度と会えない」という考えを軸に、2011年から埼玉・川越で和蝋燭を作り続けるブランドです。福岡・長崎の櫨蝋(はぜろう)、奈良の灯芯草、川越の職人という各地の技術を繋ぐ分業の構造を大切にし、木の実から採れる櫨蝋(はぜろう)100%を使用しています。ブランド名は英語の「霞(haze)」と日本語の「櫨(はぜ)」を重ねた言葉で、消えゆく炎の儚さを桜のように美しいものと捉える姿勢が根底にあります。あえて香りを付けないのは、食卓でも仏前でも、日常のあらゆる場面に小さな焚き火のように静かに寄り添えるようにという配慮から。煤が少なく力強い炎が、足早に過ぎる時間をほんの少しだけ丁寧なものへと導きます。

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