食卓にすっと届く、陶のやわらかな輪郭。
富山を拠点に制作を続ける陶芸家・honoka kubotaは、山の気配を身近に感じる土地で、日々の食卓へ自然と溶け込むうつわを生み出しています。
ぽってりとした厚みや、指先でそっとなぞったような穏やかな輪郭。整いすぎた均一さではなく、土の質感と人の手の感覚が重なり合った表情が残ります。
一枚ずつ異なる表情を持つうつわは、料理を引き立てながらも、自らを強く語りすぎません。暮らしの風景に静かに馴染み、気づけば自然と手に取っている。そんな存在感が、このうつわの魅力です。
土から、ひとつの表情が生まれるまで。
制作では、手を動かし、時間を重ねながら、一点ずつ異なる表情のうつわが生まれていきます。
表面には、釉薬の濃淡や土の粒子が織りなす細やかな表情が残り、手にしたときの重みや口元の厚みには、使う場面を思い描きながら重ねられた時間が息づいています。
山のそばで自然と向き合いながら制作を続けること。その環境から生まれるうつわには、派手さではなく、暮らしの中で少しずつ馴染んでいく穏やかな美しさがあります。
焼き上がるたびに少しずつ異なる色や質感も、このうつわならではの魅力。同じ工程を重ねても、土や釉薬が描く表情はひとつとして同じものにはなりません。
いつもの食事を、少しだけ深く味わう。
朝に果物をのせたり、昼の残りものをよそったり、夜に温かな料理を盛ったり。特別な日のためだけではなく、いつもの食卓でこそ自然と手が伸びるうつわです。
丸みを帯びたかたちは料理をやさしく受け止めながら、食卓全体の空気を穏やかに整えてくれます。使い続けるほどに、その日の料理や季節の移ろいとともに、少しずつ愛着も育っていきます。
食べることは、一日の中で何度も訪れる小さな節目。その時間に土の温もりや作り手の感覚が静かに重なることで、いつもの食事がほんの少しだけ豊かな時間へと変わっていきます。
