空間に寄り添う、土と真鍮の道具
日本の地で丁寧に形作られた、粘土のお香立てです。赤みを帯びた土を高温で焼き上げ、卵や丸、三角など、それぞれに少しずつ異なる輪郭を持たせています。
中央には鈍く光る真鍮のパーツを組み込みました。穴の深さは二段階に彫り込まれており、一般的なお香はもちろん、芯のある細い竹ひごタイプのお香もしっかりと支え、安定して燃焼させることができます。
派手な装飾を省いた静かな姿は、木や鉄といった素材で作られた家具のそばに置いても、違和感なく日常の風景に溶け込みます。
土の性質を生かした、もうひとつの機能
このお香立ての素材である焼成された粘土には、細かな気泡が無数に含まれています。そのため、表面にエッセンシャルオイルを数滴垂らすと、ゆっくりと内部へ染み込んでいきます。
火を使えない場所や、ほんのりと香らせたい時には、オイルディフューザーとして活躍します。土の冷たさを確かめながらオイルを落とす時間は、忙しい日常から意識を切り替えるきっかけになります。
1854年から続く香堂の知恵を引き継ぐブランド「noun」は、土という素材が持つ素朴な性質をそのまま生かすことで、暮らしの道具としての新しい役割を与えました。
呼吸を整える、静かな夜のために
1日の終わり、照明を少し落とした部屋で、かすかに立ち昇る煙を見つめる時間。パチパチと微かに鳴る火の音と、静かに広がる香りが、張り詰めていた空気をゆっくりとほぐしていきます。
土のざらっとした質感を指先で感じながらお香をセットする瞬間は、自分の内側へと意識を向けるスイッチのような役割を果たします。
私たちがこの道具を選んだのは、ただ香りを広げるだけでなく、道具に触れるその一連の所作そのものが、余白の時間を生み出すと感じたからです。
